ページの先頭

ページ内移動用のリンク
ヘッダーメニューへ移動
グローバルナビゲーションへ移動
本文へ移動
フッターメニューへ移動
ここから本文です

「仕事」も「料理」も「社会」も。パパの愛情あふれる世の中に。
~ビストロパパのワークライフ&ソーシャルバランス~

2010年12月16日

株式会社ビストロパパ 代表取締役 滝村 雅晴氏

10歳以上の人の家事時間をみると、男性の家事平均時間は34分。うち炊事などの「食事の管理」の時間は平均9分。一方、女性の家事平均時間は3時間2分。うち「食事の管理」の時間は1時間32分です。※

今回のコラムは、“パパ料理研究家”として、「お父さんが、家族のために料理をする世の中づくり」を目指して活動されている株式会社ビストロパパ代表取締役の滝村雅晴さんにコラムを執筆してもらいました。

(※)平成18年社会生活基本調査(総務省)調査票Bに基づく調査結果>生活時間に関する結果より


パパ料理研究家という仕事

「パパ料理研究家」。この研究家の仕事は何なのか?一言でいうと、「お父さんが、家族のために料理をする世の中づくり」をすることだ。僕が子どもの時、父が働き、母が家事・育児をするのは当たり前。別にそれがダメだとか、否定はしないが、時代とともに、父親、母親の役割も変わってきたのではないか。今の時代にふさわしい役割があるのではと感じている。その1つが「料理」だ。自分の気分で作りたい時につくる「男の趣味料理」ではなく、家族のお腹の減り具合に合わせてつくる「お父さんの家庭料理」。どの家庭でも、お父さんが料理を作る世の中を目指したい。

お父さんの家庭料理
 

働きすぎるのはいいことだ!?

そんな「お父さんの家庭料理」を広げようとしている僕自身、長女(7才)が産まれるまで、家で料理をすることはなかった。夫婦で働いている時は、もっぱら外食。毎晩のように、美味しい店を見つけては食事にいくグルメぶりだった。仕事も大好き。設立時より参画したベンチャー企業では、朝から終電まで働くことが楽しかった。業界も会社も大きくなり、それが自らの成長でもあると感じていた。僕にとっては、たくさん働くことが誇りだった。自ずと、仕事をしていた仲間にも影響を与える。マネジメントをしている立場の人間が、誰よりも長く働こうとする。そして、必要な時には夜の10時でも11時でもミーティングを始める。皆、会社に長くいることになる。


設立時20代が中心の会社で働いていた時、「家族」を持つ者は少なく、仕事だけの毎日に何の疑問も持たなかった。そんな時、自分の価値観が変わった。大学時代の友人ファミリーと、バーベキューに行った時だ。僕と同時期に結婚した友人だが、3才ぐらいになる息子がすでにいた。バカなことばかり一緒にやっていた友人は、しっかり働きながらも、父親になっていた。それは、子どもができたというだけでなく、顔つきや、子どもをさりげなく面倒をみたりするしぐさ、叱り愛する姿を見てそう感じた。

たくさんのロールモデルが必要

間もなく我が家も待望の長女を授かった。それがきっかけで、外食に行けず、自宅で料理をし始めた。ビストロパパの誕生だ。レシピ通りつくった料理がとても美味しく、料理にハマった。仕事が楽しくて仕方がなかったように、毎週末しっかり家で家族と過ごし、家族のために料理をつくることを楽しんだ。いつしか僕は、友人が家族で楽しんでいた、ファミリーキャンプに行くのが夢になっていた。それは数年後、友人家族との信州でのファミリーキャンプで実現した。

とても単純かもしれないが、とても身近な存在で、「家族と生活を楽しむ」モデルを見たことが僕の価値観を変えるものだった。一番身近な家族との時間、生活を大切にしながら仕事をするのだと。

ファミリーキャンプ
 

あるNPOとの出会い

何か、他の人のロールモデルになればと思って始めたのが、「ビストロパパ ~パパ料理のススメ~」というブログだ。最初は仕事の延長線で、ブログとはどのようなものかを知る必要があって始めたのが、いつからか自らのライフスタイルの発信のために活用するようになった。今では毎日書き続け1700日(2010年11月13日時点)を超え、今でも書き続けている。

「パパ料理」というテーマに想いを持って書いていた時に出会ったのが、父親の子育て支援のNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤さんだった。また偶然にも、安藤さんは僕が新卒時代に入社した時の先輩だった。すぐ会うことになり、安藤さんの活動を詳しく聞くことで、もう1つの世界があることに気づく。それは、「社会」であり「地域」だ。「仕事」でも「家庭」でもない、「社会」や「地域」で活動し、コミットしている人たちがいる。今ではよく見えるそんなことも、当時の僕には何も見えていなかった。

ワークからライフ。そしてソーシャルへ

子どもが産まれてから意識するようになった言葉が、「ワーク・ライフ・バランス」。「とても重要な言葉だ」と、新聞の記事を見つけ、頭から離れずメモをした時のことを覚えている。

今僕が「働く」ことに一生懸命な男性や、これからパパになろうとしている、なった男性に伝えたいのは、「父親」になった時に、コミットする場所が3つあるということ。1つ目が「仕事」、2つ目が「家庭」。そして3つ目が「地域・社会」だ。

地元京都を離れ、今の家に住むまでに7回引っ越しをしている僕には、地域とのかかわりは全くなかった。夫婦二人であれば、仕事だけでよかった。それが、子どもが出来たことで、地域・社会とのかかわりが増え、世の中の暮らしが、「仕事」と「家庭」、そして「地域」や「社会」と密接につながっていることがよくわかった。このことについては、自分自身がその立場になって気づくこともあるが、たくさんの諸先輩方からの仕事以外の生き方を知る必要がある。自分の居場所を、たくさんつくることが、パパの生き方なのだ。結果、それぞれの質を向上させ、豊かな暮らし、社会になっていくのだと思う。

オヤジの味を文化に

20代の勤労単身世帯の可処分所得では、男性を女性が上回り(*1)、専業主婦世帯よりも共働き世帯が増えている(*2)。今や自分の父親世代だけをモデルにしていたのでは、何か違ってくる。1歩先、いや半歩先の先輩たち、または海外にも目を向けながら、自分の家族だけでなく、世の中を良くするにはどうしたらいいか、自分に何ができるのか、そんなことを考える必要がある。僕はそこで1つのモデルになろうと決めた。日常の家庭料理を、お父さんが作るというモデルに。

「おふくろの味」という言葉がある。幼少のころから、母親に作ってもらった懐かしいお母さんの味のことだ。しかし、「オヤジの味」という言葉は聞いたことがない。特別な時や、アウトドア、お父さんの趣味で食べたことがあるかもしれないが、本当にお腹が減っているときに、子どもたちのためにごはんを作る父親は、まだまだ少ないだろう。僕は、全てのお父さんがそれをする世の中にしたいのだ。

お家で、誰かがお腹が減っている。それを気づき放っておけず体が勝手に動き、食事をつくる。そんな「放っておけない」パパが増えることで、世の中にあるたくさんの問題を、「会社」で「家庭」で「地域・社会」で解決していってくれると思っている。

「オヤジの味」が文化になったとき、子どもたちの未来は笑顔に溢れているに違いない。

*1

総務省:平成21年全国消費実態調査 「若年勤労単身世帯の家計収支の状況」

http://www.stat.go.jp/data/zensho/2009/tanshin/gai-menu.htm

*2

内閣府:平成21年版男女共同参画白書 「第1部第2章第3節雇用環境の変化」

http://www.gender.go.jp/whitepaper/h21/zentai/top.html

<プロフィール>
滝村 雅晴氏
(パパ料理研究家 株式会社ビストロパパ 代表取締役)
「パパが料理をすることで、家族が幸せになる」世の中づくりのために活動する、料理研究家。日本で唯一の「パパ料理研究家」として、料理教室やセミナーの開催、NHK「かんたんごはん」、NHK教育「まいにちスクスク」の出演ほか、TV・ラジオ番組出演、各種メディアでの連載、一澤信三郎帆布コラボエプロン・子ども用お手伝いエプロンの企画販売、BistroPapa Online Shop運営など、パパ料理の普及・啓蒙活動を行う。主な著書は「ママと子どもに作ってあげたい パパごはん」(マガジンハウス)。
NPO法人ファザーリング・ジャパン社員、NPO法人日本食育協会会員、食育指導士、社団法人日本ナチュラル・フード協会 ナチュラル・フード・上級インストラクターでもある。京都府出身、神奈川県在住。妻と2人姉妹のパパ。

ご質問・ご意見
ここからフッターメニューです