ページの先頭

ページ内移動用のリンク
ヘッダーメニューへ移動
グローバルナビゲーションへ移動
本文へ移動
フッターメニューへ移動
ここから本文です

「世田谷線沿線のまちづくり」で家庭と地域をつなげられたら

2011年2月28日

NPO法人まちこらぼ 代表理事 柴田 真希氏

1日の大半を仕事に費やす人も、家に帰れば地域住民のひとりです。

内閣府の調査によると、“地域が元気になるための活動に参加したい”と思う人の割合は男性、女性ともに増加傾向にあります。※

今回のコラムでは、仕事と生活の調和の一要素である、“地域活動”に焦点をあて、地域でまちづくりを担っているNPO法人「まちこらぼ」代表の柴田真希さんに執筆してもらいました。

※ 平成17年「地域再生に関する特別世論調査」及び平成19年・平成21年「地方再生に関する特別世論調査」(内閣府)より



世田谷区は子育てしやすい街というイメージを持たれることがありますが、家庭や地域の絆が弱まり、「ご近所(町会)」や「商店街」とも顔の見える関係が築きにくい現象はやはり生じています。地元に根付いた公共「町会や商店街」と、新しい公共「NPO」がなかなかうまくつながらないのも現実です。「団塊の世代」とその前後の世代のコミュニケーションの難しさをつくづく感じています。

今、地域に足りないのは「コーディネート=つなぐ」ではないでしょうか。NPO「まちこらぼ」としてできることは、裏方の事務局としてさまざまな手法で「地域をつなぐ」ことと認識しており、「駅」や「駅前商店街」が「まちづくりの場所、つながる場所」としての役割を担っていると感じます。

まちのつながり
 

さて、「まちこらぼ」の活動の話に入る前に、これまでの私のライフステージについてお話させてください。

専業主婦10年の後の第2の就職活動

初めて社会に出た当時は、女性が結婚や出産を機に職場を去ることが多い時代でした。私自身は、第1子を身ごもり、つわりが重くなって仕事を辞めざるを得ず専業主婦になり、出産子育てに専念しました。第2子ができ、手が離れたら再就職したいと思っていましたが、5年後に流産、しばらく不妊治療するもその甲斐なく、もんもんとした虚しい日々。3年経ち諦めようと思った時に第2子が誕生。保育園に預けて少しずつ仕事を再開し、社会とのつながりを求めて、手探りで「第2の就活」が始まりました。

世田谷区女性センター「らぷらす」での活動
「地域で何かをしたい」女性パワーが充満した企画会議

まず、自宅でできる仕事、テープ起こしの仕事や身近な生協の広報誌の制作の手伝いなどを開始。その後、世田谷区の女性センター「らぷらす」で、1997年から3年間、区民スタッフとして情報紙の特集記事の企画・編集をしたり、講演会を企画したりする活動を行いました。

区民スタッフとは、基本的には世田谷区での男女共同参画を推進するために実施された事業で、主婦のパワーを社会化する、言ってみればリハビリシステムのようなもので、3年間のゆるやかな活動を通して、地域活動のあり方や物事の考え方、自由な発想の大切さ、ネットワークの活用や会議の進め方にいたるまで、様々なことを学びました。

そのスタッフメンバーには、新聞のコラムを書いていた人や、ミニコミ誌の編集・取材をしていた人など、世田谷区在住の女性が集まっており、広告制作事務所に勤務経験のある私もその1人でした。企画会議の意見交換は非常に活発で、自分の生活から来る疑問点や地域の課題に対する思い等、納得するまで意見を出し合い、熱気があふれていました。当時はいよいよNPO法が法制化される時期でしたので、NGOやNPOの成り立ちや欧米での活動状況、スウェーデンの女性就業率や持続可能な環境社会の取り組み等、様々なテーマで話し合いました。自分がコツコツ続けてきた趣味の絵手紙教室を本格的に開きたい人とか、パートタイムの仕事の合間に会議に参加したりする人等、みな個性豊かな女性で、様々な情報交換ができる場にもなっていました。主婦の目線から一定期間、家庭や社会を冷静に見ていた人ばかりで、「主婦の歴史」やその「功罪」も踏まえながら、今生きている時代に合わせて柔軟に変化していく、そんな雰囲気がありました。

世田谷の女性のための地域情報紙「アンのSetagaya」を自主発行

3年間の区民スタッフ終了後も継続して一緒に活動していきたいと、自分たちでモノクロの新聞を作り、区の施設等に置きましたが、読まれず反応もなし。もっと多くの人に読んでもらうにはどうしたらよいのか、私たちは何を発信したいのかを真剣に考えました。もともと編集や企画が好きな女性が集まっているのですから、自分たちの住む世田谷区の地域情報誌を発行しようということになりました。それが「世田谷の女性のための情報紙 アンのSetagaya」です。

当時「都立母子保健院」が廃止になるときで、私たち自身がちょうど子育て世代でしたから「あんなに地域に親しまれている良い病院がなぜ廃止になるのか」という疑問を持ちました。核家族であり、地域とのつながりがほとんどない状態でもあり、「地域で起こっていることをもっと知りたい」という思いから取材を始めました。女性の社会保険労務士の経験談「女性の生き方を選択できる社会が本当の豊かな社会」というコメントを掲載したり、女性たちだけの「結婚についての紙上座談会」を実施したりして「世田谷の女性のための」という切り口を維持しながら自分たちで広告を取り、1年以上発行。経験のない広告営業は大変でしたが、やるからには覚悟を決めて電話や訪問を実行。「世田谷の女性たちはプラチナマーケット」と思われるように協賛を募り、新聞に折り込み5万部を発行し続けました。

このような体験が、私たち自身の自立の第一歩となり、少しずつ社会的な役割を担っているという自負心も芽生えましたが、本気で取り組まなければ認めてもらえないし、家族の理解も得られない、ギリギリの状況が続いたことも事実です。自分のやりたいことを説明する責任、やり続けるパワーと一緒にやる仲間を持つことが大切と思います。

NPO「まちこらぼ」の誕生

地域で楽しむ

それから仕事として動き出しました。子どもセンターのパンフレット、せたがや文化財団の情報紙「せたがや情報ガイド」、三軒茶屋銀座商店街のサイトの編集・制作等々、5年ほどは任意団体での活動でしたが、2007年の「玉電100周年記念イベント」という大規模な事業の事務局を担うことになり、NPO法人立ち上げのきっかけとなりました。地域の情報発信から、東急電鉄との共催事業、さらに世田谷区のイベント事業等も行うようになり、まちづくりの活動が広がっていきました。

「駅と商店街のコラボレート・クリーン大作戦」

2003年から世田谷線沿線の商店街が連携して「駅と商店街のコラボレート・クリーン大作戦」を始めており、「まちこらぼ」はその事務局をしています。駅前商店街で掃除をした参加者へ「せたがやせん沿線ポイント」という地域通貨を発行。1枚250円として商店街での割引券や、東急電鉄の乗車券として利用できます。地域住民と商店街をつなぐツールをつくろうと始めたものです。最初は3つの商店街だけでしたが、今では11の商店街が連携しており、親子やボーイスカウト等、多世代が参加する恒例のイベントです。

玉電100周年記念イベント

電車を核として沿線地域をまちづくりという概念でつないだのが、「玉電100周年記念イベント」です。世田谷線の前身である玉電が三軒茶屋に乗り入れて100年の2007年に実施されました。地元、昭和女子大学の坂東眞理子学長を中心として、地元住民や東急電鉄をはじめとした企業で実行委員会を立ち上げ、「現代版花電車復活祭」や模型展、写真展、シンポジウム等を開催。盛大なイベントになりました。この玉電100周年記念イベントは、世田谷線沿線地域を活性化する求心力となりました。

世田谷線つまみぐいウォーキング

2007年から実施している「世田谷線つまみぐいウォーキング」は、世田谷線沿線5キロ10駅の商店街を歩きながら75店舗の味を楽しんでいただき、大変好評です。第1回は参加者200人だったのが、今年度の4回目で1,500人を超えました。世田谷線専用乗車カード「せたまるICカード」を使ってスタンプラリーを実施。土曜日なので家族で参加される方がとても多く、子どもたちもゴールまで頑張って歩きます。毎年楽しみにしているリピーターも多くなっています。

世田谷線沿線の緑化、花植え活動

世田谷線沿線の緑化、花植え活動

地域のボランティアを募り、駅前の花壇4箇所で春と秋に花を植えて乗降客の目を楽しませています。都立松原高校の生徒の奉仕活動による参加のほか、東京農大のサークル「いそべや」の学生も参加しています。

世田谷線山下駅舎に、路面電車まちづくりカフェ「たまでんカフェ山下」が誕生

さらに、世田谷線山下駅舎の空き店舗を活用して「まちなか観光情報発信・地域交流拠点」として「たまでんカフェ山下」が昨年9月にオープンしました。世田谷線Nゲージ運転会等のイベント開催、沿線散歩コースや地域活動のパンフレットを設置、地域住民の作品展示や「ipad体験サロン」「ダイエットサポートサロン」開催など、さまざまなかたちで活用されています。

路面電車まちづくりカフェ「たまでんカフェ山下」

ファミリーデー★キャンペーン

2010年度に実施した世田谷区男女共同参画担当課のワーク・ライフ・バランス推進事業「地域で遊ぼう! ファミリーデー★キャンペーン」では、「世田谷線沿線イベント」(商店街が主催して各駅前で実施)を、子どもと一緒に廻って遊ぶというスタンプラリーを行いました。親と子が向かい合って遊べる場所をイベントごとに設置。子どもと一緒に遊ぶことを目的としました。

ゴールすれば東急線のピンバッジがもらえるということで、電車好きな親子が多く参加してくれたようです。アンケートの感想では「もっと他のイベントにも行きたいと思った」「子どもと遊ぶモチベーションがあがった」等、とても好評でした。

地域をつなげていくことが、絆を強め、生活を豊かにすると信じて

「世田谷線沿線イベント」の例のように、商店街で遊ぶということは、自分の住む地域で過ごす時間が多くなり、近所に住む人やいつも通る商店街の人たちと会話するきっかけになったり、新しいお店を知って利用したり、生活をより豊かにしてくれるのではないでしょうか。地域との関係性が通学や通勤路というだけではもったいない。自分の住んでいる地域に愛着がもてる人が増えたらと思います。

地域活動で世代を超えた住民の環が広がり、そこで得た人間関係と体験は仕事での発想力・行動力につながる可能性を秘めています。「まちこらぼ」の活動が、そんな風に個々人のワーク・ライフ・バランスの実現に寄与することができたら願ったりかなったりです。

今後も世田谷で活動を続け、地域で過ごすきっかけを提供し、一緒に楽しみながらまちづくりをしていきたいと思います。

<プロフィール>
柴田 真希氏
(NPO法人まちこらぼ 代表理事)
広告制作会社を経て専業主婦10年。世田谷区女性センターの区民スタッフ終了後「エル・コラボレーション」を立ち上げ、地域の情報発信を行う。2007年に「NPO法人まちこらぼ」を設立。玉電100周年記念イベント実行委員会、せたがや・環境行動DAY実行委員会、エコ&スローラインせたがや検討会などの事務局長を兼務。世田谷NPO法人協議会理事。

ご質問・ご意見
ここからフッターメニューです