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女性の活躍推進とワーク・ライフ・バランス

2014年2月7日

育休後コンサルタント 山口 理栄 氏

今回は、育休後コンサルタントの山口理栄さんによる、「女性の活躍推進とワーク・ライフ・バランス」をテーマとした全3回の連載コラム(第2回)をお届けします。

 

※「その1 女性の活躍推進の現状、女性が活躍できる社会とは」はこちら

その2:企業における女性の休業から復職までの支援体制、受入体制

育児休業を取得する人の数は年々増加しています(図1育児休業給付初回受給者数 参照)。それにともない、育児休業から復職した社員からは、職場の対応についてとまどいの声が聞こえてくるようになりました。
特に、よく聞かれるのが下記のような悩みです。
・責任のある仕事を任されなくなった
・仕事量が適切でない
・評価に納得できない
・働き方の融通がきかない

こういった問題は、これまでは育児をしながら働く社員が少なく、職場での対応方法が確立していないことから発生しています。現場での判断は管理職に一任され、育児や共働きの経験がある管理職とそうでない人とで対応に差が出る場合が多くなってしまっています。この状況を改善するためには、どうしたらよいでしょうか。

 

グラフ
図1 育児休業給付初回受給者数(厚生労働省 労働統計要覧より)

 

まず企業のトップは、育児をしながら働く女性社員の能力を生かさないのは会社の損失であることを自覚し、そういった社員を将来は職場のリーダー/管理職にするよう育成する、という方針を立てる必要があります。会社全体として育児をしながら働いている社員にも期待し、成果を求め、チャレンジさせる。当たり前のことですが、それができていない職場が多いのが現状です。メッセージを明確にし、繰り返し伝え続けることが効果的でしょう。

次に具体的な対策です。

(1)働き方改革

育児休業から復職する社員のほとんどが、育児短時間勤務制度を利用します。すなわち、時間に制約のある働き方を選択するわけです。しかし、これまでの職場では、時間に制約されず、効率は求めず、長時間に職場にいる社員を前提に業務プロセスが構築されていました。そういった職場では、短時間勤務社員がどんなに時間当たりの生産性を高めて働いていても、職場にいる時間が短いというだけで使いづらい、大事な仕事を任せられない、といった扱いになりがちです。

そこで必要なのは、すべての社員を対象とした、働き方改革です。長時間労働を前提とせず、時間当たりの生産効率を高めることに重点を置くという考え方にシフトすること。こうすることにより、短時間勤務者の効率のよい働き方が職場内で評価され、貢献度が正しく評価されることにつながります。

 

(2)女性の活躍推進

女性社員の能力を十分に発揮させ、活躍を推進するためには、短時間勤務からのキャリアパスを明確にすることです。企業によっては短時間勤務制度や残業を踏絵のように使い、短時間勤務をする女性、残業をしない女性はそれだけで昇進昇格の対象としないような扱いもあると聞きます。職場にそういった雰囲気があれば、短時間勤務者は、この会社で頑張っても仕方がないと思うでしょう。私が企業内研修などで会った短時間勤務者にも「子供がいてもキャリアアップを考えていいんだ、ということを初めて知りました」と言う人が少なくありません。

短時間勤務が終わったら、あるいは短時間勤務中にでも、彼女たちに能力を生かして責任のある立場で働いてもらわなければ、職場は回っていきません。そのために必要な経験を積ませ、機会を与え、鍛えることが必要です。短時間勤務であっても必要な教育・研修は受けさせるべきですし、場合によっては時間外労働や宿泊を伴う出張も打診してみましょう。

なお、会社が職場復帰後の女性社員に活躍を期待しているということを、育児休業中から伝え続けることが大切です。育児休業中は月に1度は本人とコンタクトをとりましょう。電話でもメールでもかまいません。また、職場復帰が近づいたら、本人の気持ちを仕事モードに切り替えるために効果的な、育休後職場復帰セミナーを開催しましょう。さらに、復職直前の職場復帰面談は、復職後の働き方、仕事の割当について両者ですり合せを行う最初で最大のチャンスです。職場復帰面談シート(図2)などを使って実効性のあるものにしてください。

グラフ
図2 職場復帰面談シート

(3)制度利用者に対する評価のルール化

育休から復職した社員を積極的に登用します、といっている会社でも、育休前に獲得した昇格要件を満たす評価実績を育休後に引き継げないような規則を放置している会社が少なくありません。また、規則がないのに短時間勤務者の昇給を停止したり、目標管理制度における短時間勤務者の評価基準が社内で統一されていなかったり、評価のあり方が不透明な事例をよくみかけます。これでは、社員は不公平感を募らせ、やる気をなくしてしまいます。評価結果に制度の利用が影響しているのかいないのか。それが本人にとって明確であることが重要です。

 

(4)勤務制度の柔軟化

短時間勤務とフレックス勤務が併用できたり、短時間勤務と通常勤務との間で何度でも切り替えができたり、時間休が取れたり、といった柔軟な勤務制度を採用する企業が増えてきました。在宅勤務制度を名ばかりのものにせず、適用業務を拡大して希望者に使わせることも効果的です。制度を充実させるなら、働かない時間を増やす方向ではなく、働ける時間に働いたらそれが勤務時間にカウントできる、という方向に拡充すべきです。または、制度に頼らず、管理職の裁量の範囲内で部下の多様な働き方を認めるといった方法も有効です。

 

(5)育児は女性と決めつけない

女性社員の活躍を期待するということが、育児も完璧にやって、その上で仕事でも活躍して欲しい、という意味であってはなりません。それぞれの家庭に任せることではありますが、女性も男性も育児をし、仕事もするという形を基本に考える必要があります。そのためには、子供が産まれた男性社員に対して育児休業を取らせたり、早く帰らせるように気配りしたりすることです。また、保育園に入れないことが理由で職場復帰が遅れることがないよう、ベビーシッター費用を一定期間負担する制度も社員にとっては心強いです。社内結婚であれば、子供が小さいうちは引越をともなう転勤をさせない措置も必要です。

 

ここまで述べてきたように、育児休業から復職した女性社員を活躍させるためには、従来の規則・慣例を一から見直し、会社として、一貫した対応になっているのかを検証する必要があるのです。それができたら、トップダウン、ボトムアップ、横のネットワークといった様々な角度から、社員への働きかけを活性化していきましょう。

 

(その3へ続く)

<プロフィール>
山口 理栄(育休後コンサルタント)
総合電機メーカーに24年間在籍し、ソフトウェアの開発に従事。子育てしながら部長職まで務める。2010年に独立し、仕事と子育ての両立を可能にする社会の実現をミッションに、職場復帰セミナー、育休後社員を部下に持つ管理職向けセミナーなどを実施。土日には、育休後の働き方を語り合う場「育休後カフェ」を各地で実施
【著書】「さあ、育休後からはじめよう -働くママへの応援歌」2013年2月 労働調査会発行

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