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女性の活躍推進とワーク・ライフ・バランス

2013年12月6日

育休後コンサルタント 山口 理栄 氏

女性の活躍推進は国の成長戦略でも中核に位置づけられており、日本経済の担い手として、女性がより一層職場で活躍できるようにすることが不可欠となっています。 今回は、育休後コンサルタントの山口理栄さんによる、女性の活躍推進とワーク・ライフ・バランスをテーマとした全3回の連載コラムをお届けします。

その1:女性の活躍推進の現状、女性が活躍できる社会とは

今年、政府の成長戦略の中で女性の活躍推進が大きく取り上げられました。2012年の「働くなでしこ大作戦」から引き続いたこの動きは、裏を返せば現状女性は十分活躍できていないということになります。

活躍が十分でないと見なされる根拠を3つ示します。一つ目は、女性の年齢階級別労働力率です。年齢別の就労率を表したもので、これを見ると就労率そのものが他の先進国より低く、特に30歳代〜40歳代は前後の年齢層より10%程度低くへこんでいて、いわゆるM字カーブを描いています。二つ目は、第一子出産後に就業を継続する女性の割合がいまだに4割程度にすぎないことです。この割合は、25年間ほとんど変化していません。
三つ目は管理的職業に従事する女性の割合です。先進国では30%を超える国がほとんどであるのに対し、日本は約10%です。

 

なぜこのような状況が長期間続いているのでしょう。26年にわたり勤務した民間企業での経験に基づき、働く女性を取り巻く環境にどのような問題があるのかを考察してみたいと思います。 

 

イラスト

「女性が活躍できない」大きな要因として出産があげられますが、私自身も出産を契機に大きなキャリア上の転換期を迎えました。当時、大規模なソフトウェアの開発の一部を担当していた私は、上司に妊娠を告げた結果、その開発から外れることになったのです。要するに1年間育児休業を取る間、ほかの人がその部分の開発をやらなければいけないので、すぐに引継ぎをしてください、という誰が上司でも同じ結論がでるような判断でした。それだけに、やはりそうなのか、子どもが出来るとやりたかった仕事ができなくなるのか、というやりきれない気持ちになりました。

 

しかし幸いなことに、育児休業から復職した後に割り当てられた仕事には、それなりにやりがいを見つけることができました。内容こそ、入社以来積み重ねてきた分野とは違ったものの、職場での裁量範囲が縮小されることはなく、むしろより自由に自分の創意工夫が活かされる仕事内容だったため、モチベーションが下がることはなかったように思います。

 

こうやって書いてくると、あらためて、私自身は恵まれた環境で仕事をさせてもらっていたことに気づきます。と同時に、いまだにこのような職場環境が「あたりまえ」ではなく恵まれた部類であることに愕然とするのです。

 

女性が離職する原因で一番大きいのは、長時間労働を前提とした職場のあり方です。男性は組織の中で認められるためには多少自分の時間を犠牲にしてでも長時間職場にいることで評価されたいと考えます。しかし、女性は長時間労働が組織内で存在を認められるための不可欠な条件ならば、自分はこの組織にずっといるわけにはいかない、と考えます。いずれ出産することを考えたときに、時間の制限なく働くことは無理だとわかっているからです。

 

私が出産前後に在籍した職場も長時間労働が常態化していました。その中で時間制約のある働き方をするのは非常に肩身がせまかったことを思い出します。自分だけ早く帰ることの代償として、それまでのソフトウェアの開発という仕事を手放さざるをえなかったのだと解釈せざるを得ません。私はそこで仕事そのものを辞めるという発想には至りませんでしたが、中には周りからの圧力に耐えきれず、あるいは長く携わってきた仕事を続けられなくなることが原因で退職を選ぶ女性も少なくないのです。

 

また、子どもの父親となった男性社員も、なかなか長時間労働をよしとする価値観から脱却することができません。強い意志と周囲を巻き込む力がない限り育児休業の取得や子育てのために早く帰ることについて周囲に理解を得るのは難しいのです。そのため保育園の送りはできても迎えは無理という父親がほとんどです。育休を取った男性でさえ、元の長時間労働に戻ってしまうこともあります。

 

こうしてパートナーの協力が得られない女性は、たとえ就労を継続できたとしても、働き続けることで精一杯です。短時間勤務制度の利用を早く切り上げて通常勤務に戻そうとしても、自分に育児や家事がより多くのしかかり、なかなか戻せません。キャリアアップに本腰を入れるどころではない期間が長く続きがちです。つまり、長時間労働は、30代から40代の子育てに携わっている管理職候補に相当する年齢層の女性が、仕事上でチャレンジする意欲をも奪っているといえるのです。

 

もう一つ、都市部特有の問題として保育所の不足があります。育児休業期間を職場と自分の都合で決めて、その時期になったら復職する、という当たり前のことが都市部ではできません。保育所を社会インフラととらえ、必要な人が必要な時に使える状態にすることが、女性の活躍には不可欠です。

 

(その2に続く)

<プロフィール>
山口 理栄(育休後コンサルタント)
総合電機メーカーに24年間在籍し、ソフトウェアの開発に従事。子育てしながら部長職まで務める。2010年に独立し、仕事と子育ての両立を可能にする社会の実現をミッションに、職場復帰セミナー、育休後社員を部下に持つ管理職向けセミナーなどを実施。土日には、育休後の働き方を語り合う場「育休後カフェ」を各地で実施
【著書】「さあ、育休後からはじめよう -働くママへの応援歌」2013年2月 労働調査会発行

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