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離れて暮らす親の介護と仕事の両立~笑顔で暮らすために~

2014年1月17日

介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長 太田 差惠子 氏

今回は、介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんによる、仕事と介護の両立をテーマとした全3回の連載コラム(第2回)をお届けします。

 

※「その1 仕事と介護の両立」はこちら

その2:遠距離介護に必要なこと

遠距離介護をしつつ仕事を辞めないために必要なこととは…?

うまく乗り切るための策はいくつか考えられますが、その大前提として「介護は一人で抱え込まない」ことが重要だと思います。

 

結構多いのです。

「大事な親だから…」

「自分しかいないから…」と言って、何でもかんでも自分でやらなくては、と思い込んでしまう人…。しかし、ここは冷静に考えるべきです。人間、そんなに万能ではありません。日々の生活だけでもクタクタに疲れているのに、その上、遠方で暮らす親の介護を行うのはそれほど容易ではありません。

介護といえば、「入浴」「排泄」「食事」の介助が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

お風呂は日に1回にしても、食事は通常、日に3回、トイレは複数回いくことになります。それらのサポートをしっかり行おうと思えば、24時間傍にいなければならなくなります。「遠距離」でなくても、「近距離」や「同居」であっても仕事との両立は困難と言わざるをえないでしょう。

 

では、どうするのか?

「遠距離介護」では、サービスをとことん使うことになります(「近距離」や「同居」でも、同じことです!)。

 

「サービス」をとことん使うというと、「自分は何もしなくていいんだ」と思う人、逆に「そんなことでいいのかな」と罪悪感を抱える人がいます。

どちらもちょっと違います。サービスをとことん使うには、それなりに大変なことも多く、上手に使いこなすコツというものがあります。

コツを駆使してサービスをコーディネートすること…これもひとつの「介護」なのです。そして、これこそが「遠距離介護」の重要な柱となるのです。

まず、親にとってどういうサービスが必要なのかニーズを見極めるところから始めます。ニーズを把握するには、親の生活を知る必要があります。親が何に困っているのか。ご無沙汰状態だと分からないためコミュニケーションを深める必要があるでしょう。

困っていることが分かったら、親の意向確認も大切です。例えば、食事作りが大儀になっていることを察知するとします。そこで「食事の宅配サービス」の導入を勧めても…。親は歓迎するとは限りません。

「口に合わない」

「毎日、届けてくれる時間に在宅するのは面倒」

「そんなサービス、必要ない」

と却下されることも…。一蹴されると、子は「せっかく見つけてあげたのに」とイライラ。親子喧嘩に発展するケースもあります。

ニーズとは、親がどういうサービスなら受け入れるかを知ることでもあります。時には、導入の説得を要することも…。

親がより快適な生活をできるよう(親がサービス導入を拒否すると、結果として子の負担増につながります)、サービスの情報収集もポイントです。

親の生活や介護を支えるサービスは、介護保険のほかに自治体が独自に行うサービス、NPOやボランティアのサービス、民間サービスと多岐に渡って存在します。それぞれ利用できる条件や負担も違います。特色もあるでしょう。

親が「この食事は口に合わない」と言った場合も、さまざまなサービスの情報を持ち合わせていれば、「じゃあ、次はこれを試してみない?」と提案することができます。あるいは、ホームヘルプサービスで食事を作ってもらうという方法も考えられます。介護保険の認定を受けていないようなケースでも、ボランティアや民間のヘルパーさんなら依頼することも可能です。

現在の親世代が現役だった頃、「介護保険制度」はありませんでした。介護サービスについて詳しくないのは無理のないことです。親にとって情報収集は難しい作業です。情報収集は、情報化社会に生きる子の役割だと考えましょう。

 

親のニーズと情報が集まれば、次に必要なことは支援や介護のための資金計画です。ほとんどのサービスは有料です。資金がどれくらいあるか分かっていてこそ、組み合わせて利用することができます。

そもそも、介護の費用を親本人のお金で用意できるのかどうか。親の月々収入や蓄えをおおよそでも把握するところからスタート(ざっくばらんにお金の話し合いができるような関係形成も普段の対話があってこそ)。

親の経済状況によっては、子が支援しなければいけなくなることも…。その場合は、いくらなら支援できるのかを考えなければなりません。遠距離介護となると、子が親元に通っていくための交通費も必要です。親から出してもらっている人もいれば、自己負担している人もいます。兄弟がいるケースでは、「分担」について話し合う必要もあるでしょう。

 

このように、「介護を一人で抱え込まない」ためには、対話や情報収集、資金計画が欠かせないのです。

(その3に続く)

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<プロフィール>
太田 差惠子(介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長)
京都市生まれ。20年にわたる取材活動より得た豊富な事例を基に、「遠距離介護」「ワーク・ライフ・バランス」「介護とお金」等の新たな視点で新聞・雑誌・テレビなどで情報発信。行政、組合、企業での講演実績も多数。1996年、親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「パオッコ~離れて暮らす親の ケアを考える会~」を立ち上げ、2005年5月法人化した。
パオッコ http://paokko.org/
【著書】
「70歳すぎた親をささえる72の方法」(かんき出版)、「老後介護とお金」(アスキー新書)、「遠距離介護」(岩波書店)

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