ページの先頭

ページ内移動用のリンク
ヘッダーメニューへ移動
グローバルナビゲーションへ移動
本文へ移動
フッターメニューへ移動
ここから本文です

日本初!家庭内のインターンシップで、両立しやすい社会の実現へ

2014年5月23日

スリール株式会社 代表取締役社長 堀江 敦子 氏

自らが就業スタイルを決定できる起業は、女性の活力や柔軟な発想を生かせる働き方の1つです。今回はスリール株式会社代表取締役社長の堀江敦子さんに、ご自身の起業の経験等について執筆していただきました。

 

※「その1 起業に至るまで」はこちら

その2 起業後から現在に至るまで

私は、25歳で起業して、ワーク&ライフ・インターンという、 「日本初の、家庭内のインターンシップ」を実施しています。

これは4ヶ月間週1~2回、大学生が2人ペアで共働きの家庭に入り、 仕事と子育ての両立のリアルを学ぶインターンシップです。
(子どもの対象年齢は、2歳〜小学校3年生まで)

家庭には子育てサポートを、大学生にはキャリア教育を。
設立から3年間で240名以上の大学生(1割が男性)がインターンを行ってきました。

仕事と子育ての両立体験で、大学生のキャリア観が変化する

インターンに参加するのは、「仕事も子育ても両立したい。でも不安…」と
悩みを抱える大学生。保育科の学生はほとんどいません。

「働いてみたい。でも、仕事も子育ても辛そう。働いたら子供も可哀想。
仕事と子育てはスーパーウーマンしか両立できないのではないか…。」

大学生の60%が「専業主婦思考」という調査結果がありますが、
これは「仕事・子育て・両立」への漠然としたネガティブイメージから
キャリアを諦める傾向であるという表れに過ぎないのではないかと、年間50回以上大学生へ講義を行い、話しを聴く中で感じます。
(2010年 ユーキャン・アイシェアの合同調査)

ではこのような大学生が、4ヶ月の両立体験でどう変化していくのでしょうか。

学生たちは毎週、保育園へのお迎え、食事、お風呂、宿題の見守りなどを行い、時には一緒に動物園や保育園の運動会にも参加します。
子育てはハプニングだらけで、子供も生活も思った通りにならない。けれども結局は何とかなるし、子供も保育園で楽しそうで、自分たちに働く両親を自慢してくる。
実際は、雑誌に出てくるような、何でも完璧にこなすワーキングマザーは少ない。
悩みながらも一生懸命生きていて、大変だけど楽しそうな大人の姿を、学生たちは目の当たりにします。

「完璧じゃなくて良い。人の手を借りていいなら、子育てしても仕事を続けたい!」
子育て家庭の良い部分も大変な部分も含めてリアルに知ることによって、働くことに対して前向きな感情が生まれてきます。

女子大出身で専業主婦思考だったWさんは、多くのワーキングマザーを見て働くことに前向きになり、更には「仕事と子育てを両立する為には、まずは3年までは信頼を蓄積できるように成果を出して行かないといけない!」と想い、働くことへの覚悟が生まれました。
彼女はトイレタリー商品の営業職になり営業成績トップに。現在社会人3年目で異例の営業マネージャーになっています。

「全てを完璧にしないと、仕事と生活の両立はしていはいけない」
時代が変化しても、この固定概念が彼女達にガラスの天井を創っています。
 仕事をしたくないのではなく、ただ不安なだけ、というのが、現代の若者のリアルな現状なのではないでしょうか。

罪悪感の無い「子育てのシェア」で、家族が輝く

「子供を預けることが『罪悪感から社会貢献』に変わった」
ある日、とある家庭のママさんが言ってくれました。

インターンを受け入れるまで100名以上のベビーシッターを利用していたこの管理職のママは、預けるたびにいつも「ママはいついなくなるの?」と、子供に泣かれていて、
仕事で求められる存在にも関わらず、何度も仕事を辞めようかと悩んでいました。

しかしながら、スリールの学生が最初に遊んでくれた時に、
「ママ、お姉ちゃんは次いつ来るの?」と全く子供の反応が変わり、
初めて罪悪感から解放されたと、驚きと感動が混じった笑顔でお話ししてくださいました。

その後も、学生が子供の成長のために、一緒にホットプレートでご飯を作ってみたり、お菓子作りをする中で、とても小食だった3歳の男の子は、たくさんご飯を食べられるようになり、現在では5歳の立派な少年に成長しています。 

このように、子供を預けている時間が、子供が楽しみながら成長する時間になっていると実感できたことで、
やっと「自分の時間」を考えるようになり、仕事以外にも勉強会やリフレッシュの時間を創れるようになったという方がたくさんいらっしゃいます。

更には、大学生に自らの体験についてお話しをしていただくことで、自分のキャリアの振り返りになり、
キャリアアップできたという方も多くいらっしゃいます。

私は、中学生でベビーシッターを行ってから現在まで、
200以上の家庭の方(子育てをしている方)とお会いしてきました。

その中で強く感じた事は、「子供を預けることへの『罪悪感』」がとても強いということ。
「子供を預けたら、『お母さん、いついなくなるの?』と泣かれた。」
「子供をみてもらった人に、『そんなに仕事忙しいの?』と言われてしまった…」

子供も楽しく、預かる人ともその成長を分かち合える、子育てシェアの形。
昔は当たり前にあった家族の様な関係性を、今にあった仕組で再構築することで、「罪悪感のない子育てサポート」が実現し、子育てをしていても働き続ける環境が整うと考えています。

大学生と子供と両親の黄金比が完成するまでの苦悩

お互いに力になり合う、このような事業の仕組みが、すぐに生まれた訳ではありません。

最初の半年は、どのような仕組みにすれば良いか分からず、
通常のベビーシッターのように1時間いくらという形で単発の依頼を受けるという形式をとっていました。

この形を実施しているときは、全く家族の様な関係性はできませんでした。
まず、共働きの家庭はギリギリまで人の手を借りないようにしています。
通常のベビーシッターだと、どうしても1回3、4時間利用することで1万円位掛ってしまう。
そのため、「夫婦でやって、どうしても無理ならベビーシッターさん」という認識になり、
3ヶ月に1回程度しか依頼することはありません。

そうなると、3ヶ月に1回しか会わない大学生と子供が、兄弟のようになることは無く、ママを求めて泣くことが多々ありました。
更に、家庭にとっては「ベビーシッターに頼んで乗り切った」という状況なので、
余裕な生活にはほど遠く、「マイナスからゼロの状態が保たれた」だけになり、
自分が思い描いていた理想の状態とはかけ離れた生活になっていました。

そんな時、ある家庭が月3回利用をしてくれるようになり、
毎回同じ大学生(Rさん・女性)を行かせて貰うようになりました。
そうすると子供たちは、Rさんが大好きになり、3年経った今でも「ぼくはRちゃんと結婚する!」と言っている程の仲になりました。

またお預かりが終わった後は、ママさんが大学生の就職相談に乗ってくれるようになり、
大学生と家庭がより親密な関係性になっていきました。

これを受けて、「子供をお預かりする頻度と、受け入れ先の家庭との関係性をマネジメントすること」を考えました。
まずは子供と学生の信頼関係を深めるために、毎週会う状態にする。
週1、2回(月6回)のお預かりをマストとし、同じ学生が2人ペアで行くようにしました。

例えば、インターン前の子育て研修や、毎月1回約40名のインターン同期が集まる会合です。この会合では30歳の時の自分を想像してみたり、妊娠や男性の育児参加等に関する講座、企業の社員によるキャリアの話しなどを聴き、自分の生き方・働き方を考える機会等としています。

お預かりを原則月6回にすることで、家庭にとっては「どうしても必要な3回」を除いた3回が、自分の時間として使えるようになり、自分への投資の時間にすることができます。

現在は、各家庭からはコミュニティ会員費として、月毎に一定程度のお金をいただき、1時間あたりの金額ではなく、4ヶ月間2人の学生をサポーターとして紹介・教育する形を取っています。
通常のベビーシッターよりもリーズナブルですが、その分「学生にご自身のキャリア等についてお話しいただくこと」で学生に還元することを各家庭にお約束していただいています。

このように、お互いが持っているものをシェアし、力になり合う形をマネジメントすることで、
家庭と学生と当社の3者にとっての良い関係を事業の仕組としました。

仕事と子育ての両立の実現を阻む問題はたくさんありますが、
「固定概念の解消」と「子育てをサポートする仕組」を同時に取り組むことで、
多くの人がより「自分らしいワーク&ライフが実現できる社会」を目指しています。

これから起業を目指す人に向けて

これから起業を目指す方にいつもお話ししているのは、
自分が実施しようと思うテーマが「『9連敗しても続けたい』と思えるものか。」ということです。
やはり、事業を行う上で多くの苦難がありますし、いろいろな言葉に惑わされることもあります。しかし、自分の意志を通し、諦めずに続けていく覚悟があれば、道は拓けてくると考えています。
ユニクロの柳井社長の言葉に「1勝9敗」というのがあります。9連敗した先に1勝があるということ。その「9連敗しても続けたい」という想いが自分のなかに出てきたら、考えなくてもやらざるを得なくなります。
それまでは、自分に合った形で、興味を持っている分野に関わっていくということも良いと思います。

現在、学生の受け入れを希望する家庭は順番待ちの状態ですが、学生への啓蒙活動をしながら、この事業を社会のインフラの一つにできるように日々邁進しています。

(おわり)

<プロフィール>
堀江 敦子(スリール株式会社 代表取締役)
日本女子大学社会福祉学科卒業  
大手IT企業勤務を経て25歳で起業。
最年少でワークライフ・バランス コンサルタントを取得。
「若者のキャリア意識の変革」を得意とし、多数の講演実績を持ち、新宿区の男女共同参画推進委員も務める。

ご質問・ご意見
ここからフッターメニューです