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意見交換会 第1回概要(H21年11月4日開催)[テーマ1]

ワーク・ライフ・バランスの意義(業務効率化、生産性向上など)について社員に理解を得る方法

【矢島(三菱UFJリサーチ&コンサルティング/コーディネーター)】  最初に、『ワーク・ライフ・バランスの意義について社員に理解を得る方法』ということで、皆様はどのように工夫されているか、あるいは、どのあたりに困難を感じていらっしゃるか意見交換していただけたらと思います。


ワーク・ライフ・バランスで能力を発揮し競争力アップへ

【A社】  昨年の経済危機以降、会社の業績がやはり悪化しまして、今までの働き方、仕事の仕方では、今後、企業は立ち行かないことを前提として、働き方を全員で変えていくための3カ年の計画を立てています。具体的な目標としては、全員の所定外労働時間が3年後には、平均で月に20時間以内のなかで期待される成果を上げていこうということで、仕事の取り組み方の見直しを図っています。

今後、社会的な労働力不足などが考えられ、会社が持続していくために働き方を変えていかなければいけない。社員にとっても、自己研鑽や育児や介護など仕事以外の時間確保の為に、多様な働き方の要望もありますので、そこに対しても、働き方を変えることで、ニーズに応えられるというような方向性を打ち出しております。

とはいえ、短い時間で働きましょうといっても、本人がモチベーションを持って当たらないと、時間を短く効率的にというところにはいかないので、個人個人がもっと生産性を上げるためにどうしたらいいか、それは自分のためにもなるし、会社のためにもなるというところを理解してもらうための取組をどのように進めていったらいいか、まさに今、模索中のところです。

また、管理職層はワーク・ライフ・バランスの必要性は理解しつつも、事業拡大も実現させなければならない中、マネジメントの難しさを抱えています。


【矢島】  恐らく皆さんも、ワーク・ライフ・バランスは育児や介護目的だけではなく、あるいは、女性だけを対象にしているのではないということを提示されていると思いますが、実際に、管理職層や若手などの関心をきちんと引き出せるか、ニーズを引き出せるかというところが課題かと思います。


【B社】  弊社は、最初は人材確保からスタートして、制度的には整ってきました。ところが、実際には、制度はあるけれども、休める部署と休めない部署があるというような差が出てきています。

そこで、見方を変えて、仕事の仕方を見直していかなければいけないだろうということで、2年前から、ワーク・ライフ・バランス委員会をスタートさせました。

ところが、やはり仕事の仕方そのものを変えていくのは難しい。

ただ、女性のことだけではない切り口ということで、ワーク・ライフ・バランス委員会としてメンタルヘルス、ポジティブアクション、高齢者の活用、介護問題、などをテーマに挙げて実施したら、メンタルヘルスや、高齢者の活用など幾つかの切り口からワーク・ライフ・バランスを見てもらえるようになりました。

そこで、今年からは仕事の見直しそのものに焦点を当てていくことを宣言しました。結局、仕事の効率を上げることが大前提にないと、これからの社会では生き残れない。特に欧米の企業に比べると日本はホワイトカラーの生産性が圧倒的に劣っている。ここを改善すると残業が減りますから、当然、労務コストも減る。働く人の私生活や自分に対する再投資に回せるから、皆さんのモチベーションがアップするということにつながります。

ということで、仕事そのものが効率化できる、労務コストが下がる、個人のモチベーションが上がるというこの3つが集まって初めて企業としての競争力が確保できるという視点を打ち出していこうと考えています。

また、ワーク・ライフ・バランスというと、どうしても、トップの人間も、個人生活は大事だよな、だけど売上を上げてからだよなという話になってしまうので、実は競争力を強化するところからワーク・ライフ・バランスはスタートするんですよという話に持っていこうと今考えています。


【矢島】  経営トップの理解を得るには、やはりそうした視点が必要になってきますね。


【C社】  弊社でも色々な取組を行ってきました。例えば両立支援なら両立支援、労働時間管理なら労働時間管理ということでそれぞれ取り組んできたという流れの中で、3年ほど前からワーク・ライフ・バランスという形で整理をして取組を進めております。それぞれの取組のゴールは一人一人が働きやすい環境の中でモチベーションを高めて、そこでどう能力を発揮するかというところです。つまり、取り組む意義・目的は、会社が後押しすることで、限られた時間の中でしっかり働いて成果を出してくださいということであり、ここが、いわゆる経営者層が腹落ちするところなのかなと思っています。

しかし、能力発揮を阻害する要因が、例えば育児だったり、介護だったり、自分自身の健康であったりといったようなことがあるので、そうしたことをフォローしてあげる、軽減させてあげるような施策という部分は、両立支援策など制度を整え、それを取りやすい環境づくりをするなどが重要であると考えています。

限られた時間の中で、どう生産性を高めていくのかということが今の課題ですが、一つは一人ひとりの自発的な意識によっての行動が必要であろうと思います。自分が会社の中でどうしていきたいのかということを考える中で色々と行動してもらう必要があり、それを行うことで自分自身で自己研鑽して解決できるようなものもあれば、職場として変えるというアイデアも生まれてくるでしょうし、一つの職場だけではだめで、組織の間で何とかしなければいけないという部分も出てくると思われるので、それを、コミュニケーションを図って解決していくところにつなげていくということを今実施しています。

本音で言えば、結論としては、会社がすることなので会社としての利益につなげていくところをよく理解させて、それが結果として従業員一人一人にもメリットがあるという説明がポイントかなと思っています。逆だと、たぶん伝わらないと思います


【矢島】  そうですね。両立支援から入ると、どうしても従業員の利益のためだけと理解されやすく、入り口が確かに難しい。

また、生産性を上げるというと、一人一人が今までよりもがむしゃらに働かなければいけないというイメージが強くありますが、職場や組織的にむだがないようなつくり方をしていけば、本人たちが今までよりあくせく働かなくても効率が上がるという部分もあると思います。それを示してあげないと、今までよりも本当に必死で働かないとついていけないのではないかという不安も出てきてしまうかもしれません。


長時間労働削減に向けての障壁は日本人の労働観?

【D社】  我々も、長時間労働については、数年前に、最終退社時刻を区切って、第一段階としては強制的に削減するようなことをしました。が、どうしても私がなかなか説得しきれない部分があります。一つは、日本人だからか、当社だからかわからないけど、社員の気質としてまじめなところがあって、一生懸命にやっていると偉いといった労働観があることです。営業部門などはわりと数値測定も容易で、時間も削減することが可能ですが、やはり総務・企画などの部分は成果が数字できちんと見えにくいため、一生懸命に仕事をしている人が偉いといった風潮があります。

もう一つはその延長ですが、採用を絞っていた時期があり、今、人員構成が若手が多くて中堅がいないといった状況です。若手は、世の中はそういうものだ、当たり前じゃないですか、僕帰りますという人も中にはいますが、一方、上の世代の人たちには、仕事が一人前にできる前はもう少し、がっつり仕事をして早く一人前になってくれよといった価値観もあって、進め方とか、納得のさせ方が、育成や教育面も含めると難しいなと悩んでいるところです。


【矢島】  どうしても、一生懸命に長く働いている人が偉いという意識が根強く残るのですよね。すごく難しいところです。

あと、若手に、ワーク・ライフ・バランスについて、長いライフスパンで見たときに、メリハリをつけて働こうというところをどう説明していくかですね。


【E社】  弊社にも「24時間同じ釜の飯を食って初めて良い成果がでるんだ」「俺のプロジェクトマネジメントは匠の世界だから下がワガママ言うな」というような現場のプロジェクトリーダーがまだまだいます。結局、チーム作業なので、個人個人の評価は難しく、先ほどもご意見があったように遅くまで残っているから偉いということになってしまいがちです。しかも、仕事の品質というのはセキュリティと同じでやってもやっても上限がないので、「お客様のためによりよい品質を目指すのです」と現場から言われると、指摘しづらい面があるのも事実です。

経営層も人材を活用していくためにワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティがあるということはわかってきていますが、現場ではまだそこまで意識が到達していないことが課題の一つとしてあります。とは言いながらも弊社としても色々悩みながら取り組んできております。個人の努力でできることはどうしても限られてくるので、まずは「仕事のやり方を見直す」ために、むだなプロセスを全社として減らそうとか、もっと自動化できるツールを入れて仕事のやり方を変えていきましょうということをまずやっています。それに加えて、もう一つの軸としてダイバーシティやワーク・ライフ・バランスについて現場ごとに考えていくように進めています。現場ごとの取組もそうですが、社員有志が改善アイデアを会社に提案するような仕組みも整備され、そこからテレワーク(在宅勤務)等が制度化されたりと、少しずつ成功例も出てきています。

ただ、現場の浸透には管理職の理解が一番のキーだと思っているため、昨年度から管理職層を対象にした意識変革の研修を始めました。ダイバーシティと、恒常的な長時間労働に代表される働き方の見直しについて外部の先生からお話しいただいた後に、管理職同士を5~6人ずつグループで集めてディスカッションを実施。最後に参加した管理職全員から「自分がリーダーとして働き方の見直しのために今後行う内容」を宣言として色紙に書いてもらい、社内のイントラネット上で開示しました。これは社員の誰でも見られます。そしてそれだけで終わらせないように、その宣言を職場で実現するために職場単位でセッションを行ってもらい、職場内のコミュニケーションのきっかけとして使ってもらえるようにしています。とは言っても現場ことに忙しかったり職場が分散していたりして、浸透にはまだまだ課題があると思っております。


【矢島】  ダイバーシティとかワーク・ライフ・バランス研修には管理職は必ず出席するようにできればいいのですが、なかなか難しいところがあります。

それから、日本とアメリカの生産性の比較研究で、日本の場合、企業にシステム導入するときに、その企業のやり方に合わせてオーダーメードで作ってしまうので、仕事の仕方は一切変えていないが、アメリカの場合、パッケージされたものをどんどん入れていっているので、仕事の仕方自体をそれに合わせて変えているから効率化が進むのだというものがありました。だから、導入したシステムの費用に対して、日本の場合、効果があまり上がっていないということが指摘されていました。


ワーク・ライフ・バランスは企業のリスク対応にも

【F社】  少し違った視点で言いますと、誰もがワーク・ライフ・バランスを取れるようにしているということが、会社にとってリスク対応になると思います。育児をしている女性社員は相対的な時間も少ないし、いつ休むかわからないから使いにくい、と思われているかもしれませんが、今バリバリ働いている社員がいつ倒れないとも限らないし、親の介護のために、急に出社できない、仕事ができないという状況になるかもしれません。そうすると、例えば、仕事の成果が限られた有能な個人にしか見えないような範囲にかなりの部分があったとしたら、その人が急に倒れたときに会社として多くのものを失うことになります。

ここで、テレワークの対応の考え方が色々なことに適用できると思います。情報や資料、自分の成果を上司や同僚と共有できていれば、急な引き継ぎもしやすく、急なリスクに、チーム全体、組織でカバーできます。

そういう管理の仕方をすれば、ある程度休暇も取りやすくなるだろうし、緊急のときは対応ができます。リスク対応的な観点は、わりと管理職にはヒットすると思います。


【矢島】  今おっしゃったテレワークとか在宅勤務ということは、情報管理や労務管理の観点から、試行はしていたけれども、本格導入はなかなか難しいという企業が多くあります。でも、今般の新型インフルエンザ問題のときにそれなりの対応ができる体制になっていると、やはりよかったという声もあって、今おっしゃったようなリスク管理という視点から再注目されたのではないかと思います。


長時間労働削減に伴う社員の収入減は?

【東京都】  働き方の見直しによって長時間労働が削減されることは、経営者側から見ると労務コストの削減になるわけですが、一方、勤労者としては、残業代を前提とした人生設計・生活設計をしているという方が結構いるのではないかと思います。その辺りについてお聞かせください。


【A社】  弊社では、月例賃金を安定性を確保しつつ、「期待役割・期待成果」をより適切に反映したものにしていこうという方針を掲げています。つまり労働時間の多寡により変動する所定外手当ではなく基本賃金によって仕事に対する動機づけと生活面の充実を図っていきたいと考えています。従って、働き方を見直し、所定外手当が減少すればその一部を基本賃金に振り向けることで、さらなる基本賃金の充実へと結びつけていきたいと思っています。


【矢島】  そのあたりは、企業にとってもなかなか厳しいところもあるのではないかと思います。


【C社】  そこの部分は、弊社は逆に、残業はゼロをベースにしているので、他企業の話を聞くとギャップを感じるところがあります。そもそも所定の労働時間が決まっているわけなので、それ以外に仕事をするのはどうなのかと。当然のようにそこは働く時間だと多くの企業はなっているので、そこを変えないといけないと思っています。おっしゃるとおり、入ることをあてにしていた収入が減るのは非常に問題なので、短期的には、時短をする代わりに単価を上げて基本給を上げるとか、賞与に積み増しをして、基本的には労働時間を短くするなどのインセンティブを与えながら進めていかないと難しいでしょうね。ただ、それをしても会社としての出金は減らないので、経営者層は納得しづらいとは思いますけど。


【B社】  残業代が生活給になっている実態はあるのでしょうけど、当然企業としては、基本的にはそれがありきということはないので、仕事があるから残業してもらうということが大前提としてきちんと突き詰められていれば、その問題に対してある程度は解消されてくる部分があると思います。次の段階は、しなければいけない残業になる部分をどうしたら減らせるかというところだと思います。


【矢島】  今の時期だからこそよけいに厳しい問題だと思います。

長い時間働いて多くのお給料をという考えは、企業にとってもマイナスですが、一方、日本の企業が正社員一人当たりのコストを考えて、1人の人間に長く働いてもらったほうがまだいいと考えてきたというこれまでの経緯もあったので、今、転換していくところで苦しい部分があるのだと思います。


【F社】  残業が多いことから、会社のためにそれは必要な仕事なのか、むだなことをしていないかということを社員一人一人がもう一度きちんと考えるようにということで、「あなたがしている仕事は本当に必要なのか」「今まで通例でしてきた仕事の仕方を、そのまま何も考えずにしているのではないか」と、最近、社長からの直々のメッセージをいただきました。

改善のためにこういうことをしたらいいよという社員からの提案も募集しているので、成果が出てくることを期待しています。


【矢島】  やはり難しいのは、生産性、働き方を変えるといったときに、一つ一つの仕事によってすべきことが違うので、完全にはマニュアル対応できないというところがあると思います。イギリスでも、ワーク・ライフ・バランスを日本に先行して2000年から始めたときに、最初に色々定量的な調査をかけたのですが、うまく成果が出ないため、実際に50社ほどにコンサルタントを入れて、50社それぞれに個別の解決を検討したということがあります。

日本の企業の取組の中にも、マネジメントとして工夫している部署の例をなるべく社内に周知していくようにしているというお話もありましたので、会社としての仕事の特徴や職種ごとの違いなどに対応していかないと難しい部分があるのかなと思います。

[テーマ2]短時間勤務社員とフルタイム勤務社員との混合チームにおけるマネジメント

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