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意見交換会 第1回概要 (H21年11月4日開催)[テーマ2]

短時間勤務社員とフルタイム勤務社員との混合チームにおけるマネジメント

【矢島】  もう一つのテーマ『短時間勤務社員とフルタイム勤務社員との混合チームにおけるマネジメント』ということで、目標の立て方や成果の評価方法、メンバーに対するフォローなどをどうするかという問題があります。

皆様ご承知のとおり、育児介護休業法が改正になり、来年度、短時間勤務が義務化され、これから本格的に短時間勤務制度を導入しなければならないということで、この運用について悩まれていらっしゃるところが多いのかなと思います。

実施してみれば実施してみるほど本当に難しい問題で、今まで携わってきたワーク・ライフ・バランスというものの根本的な問題がここに凝縮してくるのかなと思います。女性や子育て中の人だけを対象に制度を利用してもらうということでは済まなくて、職場全体で基本的な働き方、通常の働き方から見直していかないとうまく運用できません。


モチベーションを下げる仕事の与え方

【C社】  弊社はまさに、正社員の他、パート等の有期契約の人がいたりというものをマネジメントしていかなければいけない中で仕事をしているので、このテーマは肝になっています。

主に短時間勤務制度を利用している社員のマネジメントについては、短時間であることを踏まえたうえでの役割分担や仕事の与え方について、管理職に対する研修ではかなり説いているところです。

短時間勤務を取っている社員がいる部署は、どちらかというと、長く働けば比例して成果が上がるという部署が多いので、基本的には比例の考え方ができます。ただ、例えば15時半に帰る社員がいる場合、15時半に帰れるための簡単な仕事を与えるのでは、その人のモチベーションが上がらないし、成長しない。その結果、フルタイムに戻ってもあまり使えないとなってはかわいそうなので、そこは何とかしてくださいということを研修で行っています。

また、やはり一人一人が置かれている家庭の状況や仕事に対する考え方をマネージャーとしては把握しておかないと、その仕事の与え方がうまくできないので、マネージャーがコミュニケーションの中で拾い上げて、マネジメントに生かすという仕組みを今、実践しているという段階です。


【G社】  私どもでは、職場の管理者が仕事を与えるときに、育児のための短時間勤務は大変だから、復職したときに簡単な仕事だけしか与えないという状況が確かに実態としてあります。また、人事評価のときには、君は短時間勤務だからこの点数しかあげられないというような、短時間勤務イコール評価を下げるという風潮があったことは事実です。

育児のために短時間勤務をされている方々は、逆に生産性が高い仕事をしている方が結構多く、最初のころはモチベーションが高くて、自分は短時間勤務だけど、その中で頑張ってフルタイムの人と同じくらい成果を出すという気持ちで復職してきたときに、君は短時間勤務だからこれでいいよという仕事の与えられ方をされた瞬間にガクッとして、期待されていないならこんなものでいいや、という負のスパイラルに陥りがちなので、そこを改善しなければいけないと思っています。男性が育児中の女性に対して過度な配慮をしてしまうことが問題かなということで、特効薬はなく時間はかかりますけど、少しずつ意識改革に取り組んでいる最中です。また、女性のほうにも、そういうことがあったらきちんと話し合いをしなさいというアドバイスをしています。


【E社】  まさに悩んでいる最中です。弊社の場合、お客様への提案時にできるだけ短い納期にしないと(コンペなどで)勝てないので、初めから残業時間ありきで計画を立ててしまう例が未だに目に付きます。そのような現場に短時間勤務社員が配属されると、上司も正直使いづらい。言い方は適切ではないですが、短期間のプロジェクトにおいては、軍隊式に上司の言うとおりに働く方がプロジェクトしても成功しやすいという現場の経験則のようなこともあるのが事実です。

そのため、悪しき事例ですが、「育休から戻ってきたら大変な現場ではなくて比較的楽な管理部門に行く」というような風潮がなきにしもあらずです。こうなると現場でキャリアを積んでいきたい女性にとって、育児がハードルになってしまいます。更に、昨今の景気低迷の中で社内の管理部門の人数自体を削減しており、ポスト自体が減ってきています。そうすると、戻ってきても管理部門には入れない、じゃあ現場でどう活用しようかということがまさに今の課題です。それについては、それぞれの現場で悩みながら、徐々に解決策を得ていってもらうしかないのかなと考えているところです。

ただ、事例としてうまくいっている例をヒアリングしたりする中で、お客様とのフロントに立つことは無理だけど、現場で共通的な品質管理などに携わり開発のキャリアを積む仕事をしたり、あるいは、複数メンバーでシェアしているというような仕事の工夫については聞いています。


【矢島】  短時間勤務制度を導入されている企業もかなり増えてきまして、利用も長期化してくる傾向がある中で、制度利用者が制度を活用して両立できるということだけでなく、制度を活用しながらモチベーションを下げずにその後のキャリアを考えられるというところを検討する段階に来ていると思います。そのあたりが本当に難しいところで、皆さんもご苦労されていると思います。


【H社】  モチベーションを維持するのはなかなか難しいと思いますが、仕事をきちんと、本人に無理がない範囲で、相談しながら渡すというところがモチベーションにすごくつながると思っています。


短時間勤務には柔軟に対応

【I社】  私どもは短時間勤務申請時に、例えば1日に2時間の短縮と申請した場合でも、自分の状況に合わせて、働けるときは働いてもいいし、そうでなければ短時間勤務を取ることもできるという、少し緩い制度になっています。ですから、仕事の与え方なども、その中で上司と話をしながら、どういう業務設計を部全体、組織全体にしていくかということを話すような形になります。その職場、あるいは、その人の仕事によって個々の状況を見て決めています。ただ、管理職を含めて、わりと自立的な仕事をしている人は取りやすいけれども、そうではない人はなかなか厳しいというところがあります。

話は違いますが、弊社は、小学校に入ると夏休みや冬休みがあったり運動会があったりと全然違う環境になるので、小学校3年まで短時間勤務を延長しました。さらに、最初から9年間取るのではなくて、小学校に入るときにもう一度上司と今後の働き方について面談して取得するかを決める形にし、ステップごとに密に上司なり職場なりとコミュニケーションをとりながら、実態に合わせた制度の活用を心がけております。


【E社】  短時間勤務については、元々は小学校1年生までを利用期間にしていたのですが、保育園では19時くらいまで預かってくれていたのが、小学校に入ると同時に学童のお迎え時間が18時と短くなったり(あるいは学童にすら入れなかったり)という「小学校の壁」を考慮し、平成20年度から小学3年生まで利用期間を延ばしました。なお、やむをえない理由がある場合は小学校6年生まで短時間勤務ができます。


【J社】  弊社の場合、短時間勤務制度は30分刻みで2時間、仕事の前、仕事の後に配分でき、1カ月ごとに変えることができます。一旦ゼロ時間に戻して、再度最長2時間の短時間勤務制度を取得することも可能です。これは、子を持つ社員の声を吸収し、まさに仰っていたような、育児もタイミング(子の年次)によって負荷が違うという状況にフレキシブルに対応できるよう既存の制度を改訂したものです。


【矢島】  途中のお話にあった、短時間勤務を途中で一回やめてもまた使えるようにするというパターンにしたら実際に通常勤務に戻る人が増えたという企業もあるので、そういうほうが実態に合っているのかなと思いますね。

ただ、先ほどI社さんがおっしゃったように、申請しておいて、取ってもいいけど取らなくてもいいというのは、とても柔軟な対応だと思いますが、一方で、逆に取らなくなってしまうということがないのかなと単純に思いました。以前ヒアリングした企業などでは、出勤時間が不規則になるので、職場の同僚の方が対応しにくいという声もあるということでした。そのあたりの実態はどんな感じですか。


【I社】  実際には、フレックス制度が併用できる形になっていまして、短時間勤務制度を利用している人も、利用していない人も、もともと結構出入りがあります。

申請をしてもらうときに、一応の目安の時間帯を出してもらい、基本はそれに沿って出勤します。また、半期に一度上司との面談で職場全体の業務設計をしていくので、本人が勝手にむやみやたらに使うということはないと思います。


【F社】  弊社の場合、今お話にありましたような短時間勤務制度やフレックス制度が、やはりフレキシブルです。短時間勤務自体は高校卒業まで取れます。それもフレキシブルで、申請しておけば、取っても取らなくてもいいと。私の個人的な例を申し上げますと、普段は保育園のお迎えがあるので4時半帰りですが、今日は主人が休みなので時間まで働きます、といった使い方もできます。

それと、最近、在宅勤務をすることによって通勤にかかっていた時間が働けるようになりました。その分、出社するときには早く帰るけれども、在宅勤務をしているときは通常の勤務時間よりもさらに長く働いて、1カ月の中で勤務時間は結局プラスマイナスゼロになります。短時間勤務制度は利用しているけれども1カ月のトータルではきちんと所定勤務時間働いて、それだけ業務をこなすこともできるということで周りの皆さんの理解も得やすいですし、それは私自身、気持ちも楽に働けるようになったと感じています。


【矢島】  その場合、例えば目標設定などはどういうベースで考えるのでしょうか。基本的には短時間勤務で考えるのですか。


【F社】  目標設定は、量と質という話になってくるかと思いますが、基本的には短時間勤務制度を利用している時期、利用していない時期で目標自体が変わったということはあまり感じていません。それはもちろん上司との話し合いで、短時間だから自分ができる範囲はここだと思いますということで合意を取るということはあると思いますが。


短時間勤務社員への仕事の与え方で考慮するのは「量」

【K社】  短時間勤務の者への仕事の与え方ですが、仕事の「難易度」ではなくて、仕事「量」を考慮しています。ですから、評価をするときも与えられた仕事の量の中で目標を100%達成できたら良い評価が与えられることがあります。ただ、短時間勤務を取って、例えば2割くらい仕事量や時間が少ないということであれば、100%目標を達成したときのお給料の中から2割差し引いています。その人が後々キャリアを歩む上で問題にならないようにきっちり評価しますよというスタンスをとっています。

ただ、仕事の難易度は変えず仕事量で調節するといっても、実態としては、業務のなかには定量的に計測することが難しいものがあるので、その辺が課題かなと思っています。


【J社】  短時間勤務制度取得者の評価については、短時間を織り込み、その範囲内で十分果たせることを前提に本人と上司の間で合意した期待役割を、どの程度遂行できたかで決めるようにしています。「難易度」と「量」との2つの尺度をご紹介いただきましたが、弊社の場合はその両方を含んだ上での期待役割設定となっています。勤務が短時間になることで給料から差し引かれている部分がある中、通常の勤務時間の社員との相対的評価を用いて、評価の上でも差をつけるのは不公平であろうと考えていますし、将来のキャリアという点も考慮しています。


【矢島】  今、難易度という言い方をしていただきましたが、質は変えずに量を減らすというのが原則的な考え方だと思いますが、これが難しい。そういう仕事の切り出し方なり、役割分担が本当に難しくて、皆さんそれを色々工夫されて、それが直接評価のところに結びついてくるということになってくると思います。

また、短時間勤務の場合、導入当初は基本給を下げていなかったけれども、制度利用者本人から利用しづらいので下げてくれという声があって、労働組合を説得して変えたという企業も結構あります。


育児・介護以外の短時間勤務制度

【矢島】  また、最初の導入のことを考えると、対象をどうするかということが問題になると思います。色々な人が多様な働き方をするチャンスがあるようにということを考えると、育児・介護以外に対象を広げる可能性も出てくるのかなと思います。


【B社】  弊社ではまだアイデアの段階で実施はしていませんが、一つは自己啓発のため、例えば大学に通うときなどのために短時間勤務を認めようということと、もう一つは、家族の介護そのものではないけど、ご両親がお店を経営されていて、ご両親の調子が悪くなったので早く帰ってお店の手伝いをするといったような、家業の支援のようなことも認めようということを考えています。


営業職にも短時間勤務制度を

【矢島】  仕事の配分について、事務職であったり、営業職であったり、職種によって同じ会社の中でも難しさが全然違うというお話もあります。特に短時間勤務については、営業と製造ラインのシフト勤務、この2つが一番、導入は無理ですと答える会社が多い仕事です。営業について聞くと、営業でお客様と直接接するのは無理なので、事務部門に異動させるか、営業の中でサポートに異動させますという事例がすごく多い。でも、そういう仕事はそんなに多くはないので、増えてくると異動させられなくなってしまう。だったら、営業そのもので、どうしたら短時間勤務でもできるか考えようといった段階に来ているのかなと思います。


【J社】  営業職には短時間勤務は難しいかもしれませんが、結果が数値で表せるだけにその中で工夫すればいいのかなと思います。本人が考えることもできますし、そういう成果を出すためにサポートしなければいけないことは何だろう、不要なことは何だろうということを、会社としてもサポートできると考えています。

もちろん、「際限なく残業していい、そうすれば売上が伸びる」という今までの日本の風潮に基づくと、社内全体が「どこまでも働き・働かされる」という労働観になって難しいとは思います。実際に弊社でも、営業部門所属で短時間勤務制度を使っている人間は1割強に過ぎませんが、基本的に残業はゼロで、限られた時間の中でどう期待役割を果たすかというポイントで一人ひとりが奮闘しているような企業文化を持つことができたら、営業職の短時間勤務も少しずつ増えていくのではないかなと考えています。


【矢島】  私も色々な企業の方や制度利用者の方のお話を伺わせていただいて、その職場に恒常的に残業があるかどうかということは、この短時間勤務制度に非常に影響してくると思います。つまり、1日の勤務時間が十何時間対6時間であると、給与設定や評価の理屈が立たない。しかも、残業というのは、ある程度本人に納得性がある範囲に納まっていればいいのですが、通常勤務の方が、残業を常に理不尽だと思いながら残業している状況で短時間勤務制度を入れると、とてつもなく反発が大きいということがあると思います。

加えて、短時間勤務の人がいる場合、制度利用者の目標設定などは変えられるけれど、組織に下りてくる目標自体が減らないので、結局、それが同僚へのしわ寄せになるという問題が大きいと思います。


同僚へのフォロー、感謝の気持ちが大切

【H社】  私の場合、1時間の短縮ですが、ほかの方たちと同じように仕事を持っています。私は3年間、短時間勤務を利用させていただきました。その分、効率化をすごく迫られますが、周りの方も一緒に打合せ時間を繰り上げてくださったりして、周りの方もだんだんと残業が減ってきました。良いほうに動いているので、私が短時間勤務を利用していることでチーム自体の評価が下がったとか、そういうことはないと思っています。

ただ、遅い時間等は仕事ができないので、どうしても周りの方に負担をかけてしまいます。申し訳ないところを何でカバーするのかというと、口は無料なので、お客さんや色々なところで、チームの方はこんなにすばらしいんです、短時間でもこんなにできているんですということをなるべく言うようにして感謝の気持ちを一生懸命に伝えています。


【矢島】  同僚の方、チームで対応するということが、いい形で回っていくと、今おっしゃっていただいたような形で、職場全体にとって良い結果が出ると思います。


【K社】  管理職が出産後復職したときのことですがやはり、周囲や部下の立場からすると、つかまえにくいとか、困ったところは一部あったと思います。

そのときに、ほかのメンバーに対して、部門をフォローしたとか、助けたということで、コンピテンシー評価で高く評価したり、アワードのような形で表彰するなどしました。


【矢島】  組織の中での目標はどうしても変えられない部分が強いので、同僚の方をどう評価していくか、同僚の方のモチベーションを下げない工夫が評価においても一つの課題かなと思います。

それから、ワーク・ライフ・バランスなどの制度が出てきても、女性自身がそれをきちんと活用して、自分のキャリアを考えるようにならなければ、良い形で制度利用が進んでいきません。ただ制度があるから権利として使うのではない。そういうことを、例えば大学や男女共同参画センターなどの研修で学んでいただくなど、色々な方向でのアプローチができたらいいなと思っています。本日は私も本当に勉強になるご意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。


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