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東京発!実践アイデア集

(1)長時間労働削減、有給休暇取得促進の取組

工程表による業務の「見える化」

東京和晒株式会社
(染色整理業、従業員100人以下)

刻々と変わる受注に対する工程表を、毎日午前11時前後に工程管理システムから紙に打ち出し、それを基に関係者全員でミーティングを行っている。工程表により作業を管理することで、工程表以外の無駄な作業や残業などをしないようにしている。

お客様の納期を守るためにも、工程表は「何時頃、どこを通過」といった細かい部分まで作りこんでいる。また、お客様と納期の話をするときも工程表を活用している。

専門家からのメッセージ!

多様な働き方を推進するためには、業務の見える化と多能工化(複数の作業ができるように教育・訓練すること)が不可欠です。「工程表」を作成・活用することで業務の実態把握が可能になり、誰かが子どもの急病などで早退するような場合でも、その後の対応が容易になります。また業務内容を明確にし、関係者全員が共通認識を持つことで、必要のない作業をしないようにするなど業務を効率的に進めることができます。

プロジェクト終了時の休暇取得推奨

日本ユニシス株式会社
(ソフトウェア業、従業員1,000人以上)

優秀な人は特にプロジェクトで必須の人材として求められ、なかなか休めないため、1つのプロジェクトが終了すると1週間程度の休暇取得を推奨しており、プロジェクトマネージャーが、きちんと休暇を確保できるように配慮している。プロジェクトの期間は、数カ月から数年に渡るものなど、様々である。

また、実際に休暇を取得したか人事でチェックしている。

専門家からのメッセージ!

プロジェクト単位での業務の場合、優秀な社員ほど、プロジェクト中はもちろんのこと、プロジェクト終了後にすぐに次のプロジェクトにアサインされてしまうなど、なかなか休めない状況になりがちです。しかし、高い生産性を維持するためにはメリハリも必要です。プロジェクト終了後に長期休暇を取得できれば、心身ともにリフレッシュでき、次のプロジェクトにも好影響を与えるでしょう。また、メリハリのある働きやすい環境を作ることで、優秀な人材の確保にもつながります。

(2)仕事と育児・介護の両立支援の取組

使途不問のチャイルドケア支援金

ジョンソン&ジョンソン株式会社
(医薬品製造業、従業員1,000人以上)

年間30万円の経済的支援。未就学の子を持つ社員に支給され、0歳からであれば7年間の支給、トータル210万円のサポートとなる。

使途を問わず育児全般で各人が必要になる費用に充てることを可能にし、また、男性社員の育児休業取得の促進につなげることを目的に導入した。

利用例として、掛かり付けのベビーシッターが会社の定める割引利用対象外である場合の費用や、遠方に住む親を育児目的で呼び寄せる際の交通費、病気時や業務都合でお迎えの時間に間に合わないなど緊急時のタクシー費用などがある。利用に際し、領収書の提出は不要である。

また、別途、カフェテリアプランでのベビーシッター利用補助や育児支援サービスもあり、チャイルドケア支援金との併用も可能である。

配偶者が就労していること、育児休業を1か月以上取得することを条件としている。中途採用でも前職で育児休業を取得していれば適用される。

専門家からのメッセージ!

育児支援として経済的支援を行っている企業は少なくありませんが、非常に効果的な運用をしており、十分な費用対効果を期待できるでしょう。実際に育児を行っている社員にとって、親の交通費など育児にかかる間接的な経費にも利用できるというのはとてもありがたいことであり、また領収書の提出が不要というのも、余計な手間がかからないだけでなく、「社員を信用している」というメッセージにもなっています。経済的な支援の打ち出し方次第では、社員の忠誠心向上にもつなげることができる事例といえるでしょう。

育児期間中の多様な選択肢

株式会社りそな銀行
(銀行、従業員1,000人以上)

育児期間中については、各人のニーズに応じられるよう様々な選択肢を用意している。

①そのまま社員として勤務できるような「時短制度」 ②社員からパートナー職社員(パートタイマー)に転換し、また社員に戻る権利を付与している「社員・パートナー社員間転換制度」 ③結婚・出産・育児等により一度退職した社員を再雇用する「JOBリターン制度」という3通りを用意した。これらの組み合わせで、育児や介護をしながら働く社員の多様なニーズに応えられるようにしている。この制度の背景には雇用形態にこだわることなく、グループ内で働き続けることに重きを置く姿勢がある。

なお、「JOBリターン制度」では社員としての雇用もあるが、今のところ再雇用される人は全員パートナー社員。年1回の社員転換制度によりその後正社員に転換することも可能となっている。

専門家からのメッセージ!

長期間となる育児休業を取るときは復帰後の仕事が不安になるものですが、このように多様な働き方を選択できれば不安を軽減することができます。育児期の状況は、子どもの様子や通勤にかかる時間、保育所の整備状況、両親による支援の有無といった環境によって大きく異なります。その状況に応じた様々な雇用形態を用意することで、結果的に長く働き続けることができるなど、多様なニーズに応えた制度と言えるでしょう。

育児休業取得促進と休業期間の積立有休振替制度

和光堂株式会社
(食料品製造業、従業員300~999人)

男女を問わず、対象となる社員に対し、連続する就業日5日間の育児休業を取得することを推奨している。この休暇のために積立有給休暇を利用できる。ただし、有給休暇中は、雇用保険はおりない。

また、介護休業期間(子の看護を含む)についても積立有給休暇への振替が可能である。

休業前に保有している積立有給休暇の日数を限度に、育児・介護休業期間などの一部を有給化できる。

専門家からのメッセージ!

多くの男性が育児休業取得の希望を持っているにも拘らず、実際にはほとんどの人が取得しないのは、家計を支えることが多い男性の収入減というデメリットの大きさが原因の一つになっています。この事例のように、休業期間に積立有給休暇を利用することができれば、男性社員でも育児休業を取得しやすくなるでしょう。また子育てをしている社員だけでなく、今後増加することが予想される介護休業にも利用できるようにすることで、幅広く社員のワーク・ライフ・バランスを支援しています。

ファミリーサポート休暇

住友スリーエム株式会社
(化学製品製造業、従業員1,000人以上)

年5日間有給で取得でき、1日単位でも取得可能である。看護・疾病予防・介護・子の学校行事などに利用できる。1か月当たり、65件程度の利用がある。

看護休暇は無給で未就学児を対象としているが、この制度は子ども・親・配偶者に関係していることであれば同居していなくてもよく、様々な理由で取得できることから男性社員や管理職の利用もある。ネーミングが有給休暇よりも利用しやすいようで、利用している社員は多い。

専門家からのメッセージ!

本休暇を取得するための対象が子供だけでなく、幅広い範囲をケアしていることで多様なニーズに応えています。また、通常の有給休暇とは異なり取得事由が例示されていることや、親しみやすいネーミングにしたことが積極的な利用につながっている点も、他の企業のヒントになるかもしれません。

ワークライフバランス支援に向けた柔軟な人事運営

株式会社みずほ銀行
(銀行、従業員1,000人以上)

(1)育児休業を最大2年間とし取得回数に制限を設けない、(2)出産・育児・介護・配偶者の転勤に伴って退職した人を再雇用する制度を設ける、(3)基幹職(FCコース)・特定職について配偶者の転居に伴う異動希望を受け付ける、(4)育児・介護に係る勤務支援制度利用者の自宅近隣部店への異動希望を受け付ける、(5)育児休業者向けにSNSを提供するなどの施策によって、ライフイベントに直面した人でも、勤務を継続することができるよう支援している。

専門家からのメッセージ!

仕事をするにあたって働く場所は非常に大切な要素です。夫(妻)の突然の転勤で仕事を辞めざるを得ないという人は少なくありません。また、自宅と会社が遠く通勤に時間がかかることは、急な対応を求められることの多い育児や介護を行っている社員にとっては大きな問題です。(3)(4)はこれらの問題に対応できる制度であり、他の制度とあわせて社員の就業継続に有効な施策となっています。

再雇用制度

株式会社サトー
(電気機械器具製造業、従業員1,000人以上)

退職者の再雇用制度。子育ての落ち着いた時期に復帰できるよう、女性社員が登録している。復帰時期の期限はなし。正社員だけでなく、パート社員として復帰することも可能。

専門家からのメッセージ!

結婚・出産を機に退職した社員を再雇用することで有効に活用しています。新しい人材をゼロから育てるより経験のある人材を活用する方が、教育にかかるコストを削減することができるだけでなく、社員も自身のキャリアに関する選択肢が増え、両者にとってメリットがあります。また、子育ての忙しい時期は育児に専念したいという社員でも、復帰時期に期限がないことで、いつでも職場に戻れるという安心感を持たせることができるという点も、この制度の特徴となっています。

各課に「両立支援アドバイザー」を選任

東京都
(行政、1,000人以上)

子育てに関する休暇制度等について、職員からの相談にワンストップで対応できるよう、各課に「両立支援アドバイザー」を選任している。

「両立支援アドバイザー」は、特定事業主行動計画に基づく取組を着実に実施し、子育てに関する制度の積極的な周知に努めるとともに、職員から制度等についての問合せを受けた場合、適切に情報提供や助言を行っている。

また、「両立支援アドバイザー」に対しては、関係知識の習得に資するための説明会や関係手続一覧等の配布を行っている。

専門家からのメッセージ!

両立支援に関する相談には、各職場の業務や状況に合わせたきめ細かい対応が必要なケースもあります。各課にアドバイザーを設置し、非常に手厚いフォロー体制をとることで、そうした相談への対応が可能となります。また身近に相談できる人がいるだけでも、子育て中の職員など当事者には心強いでしょう。

(3)意識改革、職場風土改善の取組

管理職に対する研修と評価項目への組み込み

株式会社資生堂
(化粧品等製造業、従業員1,000人以上)

部下のいる管理職の評価項目の一つに「働き方の見直し、労働生産性の向上」を追加し、成果評価の10%を充てている。

専門家からのメッセージ!

ワーク・ライフ・バランスには管理職の意識が重要だと言われていますが、ワーク・ライフ・バランスの視点を評価項目に組み込むことで、管理職の意識改革が促進されます。

労働生産性が向上すれば長時間労働の改善にもつながります。長時間働くことを善とする管理職が多いという企業には効果的ですので、是非参考にしてください。

研修で目標を宣言

株式会社NTTデータ
(ソフトウェア業、従業員1,000人以上)

全部長を対象に、ダイバーシティや働き方の見直し等に関する意識改革研修を実施。グループディスカッションを実施し、セッション後には1人ずつ、「会議のエンド時間を決める」「ノー残業デーには電気を強制消灯する」など、変革のための目標を色紙に直筆で宣言。宣言の内容はイントラネット上で掲示している。

各職場では部長をファシリテーターに職場セッションを設け、部長から研修内容を部下にフィードバックしている。また、職場セッションについては実施状況をモニタリングし、役員会等で報告するなど強制力を持たせている。

この取組の継続のために、翌年度からは新任部長を対象に新任部長研修の一環として毎年実施すると同時に、毎年1回は全部長に変革のための目標の見直しと職場セッションの実施をしてもらい、PDCAサイクルを回し続けることで変革の原動力を維持している。

専門家からのメッセージ!

ワーク・ライフ・バランスの推進には、管理職の意識や部下とのコミュニケーションが重要です。管理職自身の目標を公開することで、設定した目標の達成に向けた行動を確実に取らせるとともに、職場セッションを行い現場まで管理職の考えを伝えることで、職場全体で目標に取り組むという機運を高めています。また、部下とのコミュニケーションが増えることで、風通しの良い雰囲気の職場になることが期待できます。

ノーベル会議で職場風土を改善

吉村紙業株式会社
(紙製容器製造業、従業員100~300人)

経営戦略会議以外に、社員の誰もが起案をできる「ノーベル会議」を実施している。

「タバコを吸わない人のための手当」や「会社の駐車場にいるムクドリのフン対策」といった細かい提案に対しても真摯に検討し回答している。そうすることで、「会社は社員のことを考えている」「会社は自分たち社員が変えることができる」というアピールにつなげている。

社員の提案のレベルも向上しており、「顧客先への配送に毎度使っている段ボールは、いつも新品ではもったいないので、エコの観点から『再利用シール』を張って、使用済みの段ボールも使えるようにしてはどうか」という提案がなされ、実際に採用した。

専門家からのメッセージ!

ワーク・ライフ・バランス施策というと、子育てや介護などの事情を持つ特定の人のためのものだと誤解されがちですが、「ノーベル会議」は全社員を対象にした提案制度のため不公平感が生じません。業務の改善にまで結びつけることで、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた職場環境整備につなげることができます。また、きちんと回答することが社員へのアピールになり、会社に対する忠誠心の向上も期待できます。

監修:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

塚田聡氏

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